言の葉庵 |能文社 |お問合せ

心にしみる名言、知恵と勇気がわいてくる名文を、千年の名著から毎回お届けします。

名言名句 第五十六回 良寛 死ぬ時節には死ぬがよく候

 No.72
死ぬ時節には死ぬがよく候。~良寛『杜皐宛書簡』

文政十年(1828年)、現新潟市三条を襲った大地震。当句は、同地の縁者に宛てた良寛の手紙の中の一節です。まず、原文と現代語訳をご案内しましょう。


〈原文〉
地しんは信に大變に候 野僧草庵ハ何事なく親るい中死人もなくめで度存候

 うちつけにしなばしなずてながらへてかゝるうきめを見るがはびしさ

しかし災難に逢時節には災難に逢がよく候 死ぬ時節には死ぬがよく候 是ハこれ災難を
のがるゝ妙法にて候 かしこ
                                   良 寛
  臘八
山田杜皐老                              良 寛
  與板
(『定本 良寛全集 第三巻』書簡集/法華転・法華讃 中央公論新社2007年)


〈現代語訳〉
地震は本当に大変でした。拙僧の草庵は無事で、親類にも死者はなくさいわいでした。

 うちつけにしなばしなずてながらへてかゝるうきめを見るがはびしさ
(突然死んでしまったなら、生き残ってこのようなつらい目にあうわびしさもなかったものを)

つまり、災難にあう時には災難にあうのがよく、死ぬ時には死ぬことがよい。なんとしてもこれが災難を逃れる妙法なのですから。 かしこ
                                   良 寛
  臘八(12月8日)
山田杜皐老                              良 寛
  與板
(現代語訳 水野聡 能文社2016年)


上の地震は同年11月、栄町(現新潟県三条市)を中心に発生したもので、杜皐の住む与板では家屋全壊264、家屋焼失18、死者34名、負傷者118名の大きな被害を出しました。しかし良寛の住む島崎(現長岡市)では1軒の家屋も倒れませんでした。

手紙の宛先、山田杜皐(とこう)は、与板の町年寄で、代々酒造業を営む家の九代目当主。俳諧と画をよくし、良寛とは再従弟にあたり親しく交流していたと伝えます。

さてこの良寛一文の主旨は、今あるがままを受け入れ、生かされた命を大切に前を向いて生きなさい、と励ましたものです。たとえ家を失い、家族・友人を失ったとしても、悲しみ悔やんだところでどうにもならない、地震は天より与えられたもの、昨日より今日、過去より未来を信じ、力強く歩きなされ、と。

しかし言葉は本来、それを発する人と受け取る人との関係、互いのシチュエーションによって、大きくニュアンスが変わってくるもの。いくら親しい間柄とはいえ、震災の被害のなかった人から甚大な被害を受けた人に宛てた言葉として、良寛のこの手紙はあまりに冷たい、と非難する人もいます。

続きはこちら

あなたもスラスラ古文が読める。読解ポイントの裏技・表技を庵主がこっそり伝授します。

第十回 『戴恩記』話者を敬語の程度で見つけ出す。

今回は、「第二回 主語を探す」の上級編をお届けします。読解のテーマは「話者は誰か。敬語の程度で見つけ出す」。
テキストは、貞門俳諧の祖、松永貞徳の『戴恩記』を取り上げました。

続きはこちら

現代語訳 十牛図

現代語訳 十牛図
玄侑宗久 監修・解説、水野 聡 訳
本体価格:1,300円 +税

判型:四六版 全104ページ 上製 オールカラー
発売日:2016年2月10日
出版社:PHPエディターズ・グループ
ISBN978-4-569-82787-2

【言の葉庵】書籍画像一覧

本書は、中国宋代に著された禅籍『十牛図』の現代語訳作品です。

『十牛図』は、一匹の牛を〝見失ってしまった本来の自己〟になぞらえています。牧人が、牛を尋ね、探し当て、その手に捕らえることによって、悟りへと導かれていく様を十枚の絵と短い詩文であらわしたもの。誰にでもたやすく、目で見て直観し、悟りを開くことのできるイメージトレーニングツールとして創作されました。

何かを目指している、何かを獲得したい、と一度も考えたことのない人はごく少数ではないでしょうか。その何かを見つけ、そこにたどり着く過程の、いったいどのあたりに自分は今いるのか。次のステップは何か、あるいは今後どんな展開が待ち受けているのか。
実年齢に関係なく、自分の現在の成長段階を『十牛図』でイメージすれば、今後の長い道のりを歩いていく上で、またとない〝旅の手引き〟になるのかもしれません。
(本書 水野聡「まえがき」より)

要は人生、「がんばる」ことも「がんばらない」ことも、両方必要なのだ。疑問をもち、がんばってそれに向き合い、その疑問を解くことはむろん必要だが、「今」に安らぎ、現状に「知足」し、明るい十全感に浸ることもまた必要なことだ。その両者が螺旋のように繋がっていく在り方を、実に印象的な形で示したのが『十牛図』なのですある。
(本書 玄侑宗久「あとがき」より)

続きはこちら

◆庵主のくたびれ日記

能〈江口〉事前講座【言の葉庵】読者無料ご招待

第十一回奥川恒治の会 能〈江口〉の事前鑑賞講座が、
9/16(金)渋谷のネクシィーズスクエアビルにて開講されます。

◆第十一回奥川恒治の会(能のHanaホームページ)

続きはこちら

◆寺子屋 素読の会

◆【言の葉庵】カルチャー講座一覧表

◆はじめて見る能・狂言ガイド

◆能・狂言Q&A集

◆言の葉庵推奨書籍

◆言の葉メールマガジン
「千年の日本語。名言・名句マガジン」

「通勤電車で読む、心の栄養、腹の勇気。今週の名言・名句」、「スラスラ古文が読める。読解ポイントの裏技・表技。古典原文まる秘読解教室」などのコンテンツを配信しています。(隔週)

◆お知らせ

ビジネス・パートナー大募集

現在、弊社では各業界より、マーケティング関連委託案件があります。
つきましては下記の各分野において、企業・フリーランスの協力パートナーを募集しています。

◇アナリスト、リサーチャー
◇メディアプラン(フリーペーパー、カード誌媒体等)
◇プランナー、アートディレクター、コピーライター
◇Web制作
◇イベンター、SPプロモーション
◆化粧品・健康食品・食品飲料・IT・通信分野

ブログランキング ブログ村
人気blogランキングへ
ブログ王ランキング

 

Copyright(c)2005.NOBUNSHA.All Rights Reseved

Support by 茅ヶ崎プランニングオフィス