〔言の葉庵HP限定コンテンツ〕
電子ブック『こども ふうしかでん』
~子供の才能を伸ばす、六百年の秘伝書
水野聡著 2018年8月13日 初版 能文社
・第一章
こどものうちにやっておくこと。
おとなになったらやること。
おじいさんになったらやること。
(続き)
三十四、五さい
とくいなことに、じつりょくもついて、しごとがいちばんうまくいく。
スポーツだったらチャンピオンになり、かいしゃいんならかいしゃでいちばんのせいせきをあげられるねんれいだ。
でもこのねんれいで、いちばんになっていないのなら、とくいなことでほんもののプロになっていないのかもしれないね。そんな人は、いくらがんばっても四十さいからあとは、下がっていっちゃうんです。
でも、このねんれいになると、いままでやってきたことをふりかえって考えることができて、これからあと、どうすればいいかもわかるようになるよ。
よのなかは、いちばんの人だけでできているんじゃないからね。
四十四、五さい
ちゅうねんのおじさんになったら、しごとやかいしゃの中で、やくめがかわってくる。
わかい人みたいに、もうたくさんのしごとを早くできないからね。
けいけんはうんとあるので、わかい人の「とくいなこと」をのばすおてつだいをすることがたいせつ。
じぶんでプロのしごとを、ちょびっとやってみせて、わかい人が「あっ そうか」と気づくようにしてあげる。その、ちょびっとやったことに、ほんもののプロのわざが、ぴかっとひかるんだ。
「あの人みたいなプロになりたいな」、とわかい人もおもってくれるよ。
五十さいからあと
五十さい、六十さいのおじいさんになると、ざんねんだけど、プロのしごとはそつぎょうだ。
からだもあんまりうごかないし、ものもわすれちゃう。これは、ふつうの人も天才も、おんなじなんです。
プロのしごとができなくても、何十年もがんばってきたおじいさんには、その人にしかないオーラがある。こまったことができると、しゃちょうもその人にそうだんにくるんだ。かおをみるだけで、あんしんできるから。
そんけいできて、いざというときたよりになる。そんな人になりたいね。
・ぜあみじーじのひでん
すきなことをいっしょうけんめいやろう。
ほめられても、とくいになっちゃだめ。
(原典)
三十四、五
この年代の能は芸の絶頂期にある。ここで本書の各段各章を究め悟って、芸技を体得できれば、必ずや天下に許され名望を得ることになろう。
しかしこの時期、天下にさほど許しも得られず、名望も思うほどでないならば、たとえ上手と言われようが、いまだまことの花を極めていないシテであることを悟るべきである。もし極めていないとなれば、四十より以降、能は下がるはず。これは後にそうなったことで証明されるだろう。
すなわち、上がるのは三十四、五までのころ、下がるのは四十以降。くれぐれも言うが、この時天下の許しを得られていないなら、周りがどういおうとも能を極めたと思ってはならない。
ここでなお慎むことだ。この年代は過ぎし方を振り返り、また行く先の手立てをも予見できる時分である。ここで極めることができなければ、この先天下の許しを得ることは返す返すも難しいといえよう。
『現代語訳 風姿花伝』第一年来稽古條々より抜粋
(コラム)
・お父さん、お母さんへ
『風姿花伝』の第一章は、「年来稽古條々」。幼年より、老年にいたる各年代、能役者として上達し、成功するためのポイントが紹介されています。
各年代でなすべきことと、年齢による役回りの変化。そして、成功への秘訣、職業観など、能に限らず、様々な分野・職業の人に応用できる「成長の法則」が示されます。
「大人になるってどういうこと」「好きなことと仕事」など、お子さんと一緒に読みながら、話し合ってみるのもいいかもしれませんね。
2018年10月24日 17:34
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