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新春の儀は「翁寂び」

みなさま、あけましておめでとうございます。

今年も、みなさまとともに言の葉を探す旅をつづけてまいります。どうぞ、よろしく! 年もあけて、はや12時間以上たってしまいましたが、昨夜、言の葉庵のカウントダウン イベントをご報告せねばなりますまい。
本年のその瞬間、庵主は赤坂日枝山王神社の拝殿の中にいました。当社新春行事、若水祭の”独翁ひとりおきな”奉奏を拝見。塵を払う清冽、厳粛な、初春の神事です。カウントダウンの合図は、直径2mはありそうな大太鼓の一打ち。本殿をゆるがすような豪快な打音とともに亥の年は幕を開け、神・神官・能楽師による神事は粛々とはじまります。ご神体を奥中心に見、向かって左に神職・雅楽奏者、右にはシテの翁と地謡の役者たちが居並ぶ。

祝詞、三拝、雅楽奉奏、榊の授受など神官による若水の儀がとり行われた後、翁と地謡は立って、ご神体に正対する位置まで進む。拝殿下のわれわれ拝観者に丁度背中を向ける格好です。そのまま、通常の翁の舞の部分だけを奉納します。面はかけない。「とうとうたらり、たらりら」と翁の姿を借り、この国の一年の豊饒、安寧を祈ってひととき、神は舞い、かつ遊ぶ。わずか10分程度の奉奏ですが、拝殿の限られた空間は完全に異次元の結界となります。われわれの真後には金網がはられ、その後には押し寄せる一般参拝客。お賽銭を投げ入れる音、参拝のどよめき、じゃらじゃらとかき鳴らされる大鈴、警察の境内放送の声…。かなりの騒音です。金網一枚を隔てて、こちらは”神の世界”。ただ閑寂に年の初めを寿ぐのみ。

「能にして、能にあらず」とされる翁。そもそも発祥は、神に奉納する舞であるとされる能のもっとも原初的な姿を伝える翁の舞。通常、舞台で観客(将軍であっても)に対して舞われるものとは、まったく異なる”翁寂び”を目の当たりにし、心の塵をすっかり払い拝殿を後にしました。

さて、言の葉庵、今年のテーマは「和をもって尊しとす」。昨年一年は実にさまざまな出会いがありました。これらご縁を生涯のご縁とし、言の葉の和をさらに広げていく年にしたいと思っています。この「和」はむろん、日本の「和」でもあります。どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

2007年01月01日 14:14

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コメント

明けましておめでとうございます。

独翁で迎える新年、本当にいいものでしたよねー。
そしてまた、庵主さまの若水祭「独翁」の解説、さすがわかり易いです。
私もHPに書いたのですが、私的な感想に走ってしまいました。なので、若水祭の式次第について関心のある方のために、このページにリンクを張らせて下さいませ。

今年もよろしくお願い致します。

投稿者 ひまわり : 2007年01月07日 15:48

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