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新春の名言「我を生みしは父母、我を知るは鮑叔なり」

あけましておめでとうございます!
言の葉庵、2008年年頭の名言は中国春秋時代の偉人、管仲のこのことば。その意味は「私を生んでくれたのは両親であるが、私を知ってくれているのは朋友、鮑叔殿である」。孔子も尊敬する中国史上最高の名宰相が管仲。その名とともに、「管鮑の交わり」という成語が日本では有名かもしれません。「管」は管仲、「鮑」は無二の親友、鮑叔のこと。親兄弟よりもお互いのことを深く理解し、尊敬し、助け合う理想的な友人関係を、「管仲と鮑叔の交わり」と讃えたものです。生涯の友を得ること、生涯変わらぬ友情を持ち続けることこそ、人間関係の最上のかたちではないでしょうか。

 管仲(夷吾)は春秋時代の斉の大夫。名が夷吾で、字が管仲です。名高い書『管子』は、管仲のこと。斉の桓公を助け、春秋五覇最初の一人となした、中国史を代表する名宰相。鮑叔(牙)も同じく斉の大夫。生涯、不遇な時も変わらず管仲を守り立て、その才を愛し、やがて桓公へと推挙。我が友に斉の天下統一の偉業を補佐せしめたのです。

 「我を生みしは父母…」の原典『晏管列伝 第二』の本文より、以下「管鮑の交わり」の実像をたどってみましょう。


 管仲夷吾は、潁水のほとりの出身。
若い時より、鮑叔牙と親友の間柄であった。
鮑叔は管仲の賢明さをよく知っていた。
管仲は貧しく不遇で、鮑叔を欺くこともあったが
最後まで彼を信頼し、その行いに対して文句をいう事もなかった。

 鮑叔はのちに、斉の公子小白に仕えることになり、
管仲は公子糾に仕えることになった。
小白は即位して桓公となり、公子糾は死に、管仲は捕らえられる。
しかし鮑叔は管仲を助け、ついに桓公に推挙する。
管仲は重用され、斉の政治を任されることになっていく。
斉の桓公が覇者となり、諸侯を集めて盟約を結び、
天下を統一し、秩序を正すことができたのは、
すべて管仲の画策によるものであった。

 管仲は言う、
「私はかつて困窮しており、鮑叔と店を開き商売したことがある。
その利益を分けるに当たって、自分が鮑叔より多くをとった。
しかし、鮑叔は私を欲張りだとは思わなかった。
私が貧しいことを知っていたからである。
また、かつて鮑叔のために事を画策したが失敗し、さらに困窮したことがあった。
しかし、鮑叔は私を愚かだとは思わなかった。
有利なときと、不利なときがあるのを知っていたからである。
私は、かつて多くの君主に使えたが、そのたびに君主に放逐された。
しかし、鮑叔は私を役立たずだとは思わなかった。
私が時代にあっていないことを知っていたからである。
私は、かつて三戦して三度とも逃げたことがある。
しかし、鮑叔は私を臆病だとは思わなかった。
私に老母がいることを知っていたからである。
公子糾は敗れ、召忽は殉死し、私は囚われ辱めを受けた。
しかし、鮑叔は私を恥知らずだとは思わなかった。
私が小さな節義を、守ることを恥とせず、
功名が天下に知られぬことを恥とするのを知っていたからである。
私を生んでくれたのは両親であるが、私を知ってくれているのは鮑叔殿である」

 鮑叔は管仲を推挙して、自らはその部下となる。
子孫は代々、斉に禄を与えられ、封邑を保つこと十数世にわたったが、すべて名大夫とよばれた。
天下の人々は管仲の賢さを賞賛するよりも、鮑叔の人を見る目を賞賛したものだ。

2007年12月31日 22:48

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