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文中に話し手がいない!?それが日本語の奥深さ 【言の葉庵】No.5

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┣┫OW┃O    文中に話し手がいない!?それが日本語の奥深さ2006.3.9
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第二回、古典原文丸秘読解教室は「主語を探す。誰が誰に言っている文か」。
古文に限らず、主語を書かないのが日本語文法の最大の特徴。中でも芸道関係
の伝書・聞書きは話者と筆者が入り混じり、とくに読解難易度の高い分野です。
さらに登場人物が師匠、その師匠、そのまた師匠…、とロシアのマトルーシュ
カ人形状態となっていることがあり、読解力が鍛えられます。
日本語ジャングルは、”辞世の句”をとりあげてみました。人は己の末期に何
を思うのか。思わないのか。偉人の辞世の句は、はたして偉大なのか。少しほ
じくってみましょう。
さらに今回の臨時コーナー、「演能情報」。入場料が高いと思われている、能
・狂言をちゃっかり無料で楽しむ方法、本邦初公開です。さあ、見なきゃ!


…<今週のCONTENTS>…………………………………………………………………

【1】日本語ジャングル      風さそう花よりも猶我はまた<辞世の句>
【2】古典原文読解教室   第二回<主語を探す。誰が誰に言っている文か>
【3】演能情報             春は「能・狂言」を無料でみよう
【4】問わず語り~編集雑話         子供たちに”夢をみる力”を

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【1】日本語ジャングル      風さそう花よりも猶我はまた<辞世の句>
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人は人生の終焉を迎えるにあたって、一体何を感じ、思うのか。古来より日本
人は特に「辞世の句」に注目し、重んじてきました。今回は、誰でも知ってい
る超有名なものから(タイトルの句はわかりますよね)、無名の一般人の心を打
つ句まで、当庵独自のくせのあるセレクトでご紹介してみたいと思います。ま
だ何十年先かもしれないし、今週末かもしれない…。その時がやってきたとき、
自分は何を思うのか、またどうあるべきか。末期の予行演習をしておくために
も、心にブックマークしておきたい名句を集めてみました。

★芸術・芸道★

●山崎宗鑑(一五五三没 享年八十九)
辞世の句
「宗鑑はいづこへと人の問うならば ちとようありてあの世へといえ」

俳諧の創始者。はじめ足利義尚に仕えるが、その死に出合い、世の無常を感じ
剃髪して尼崎に隠棲する。ついで一休禅師に従う。和歌・連歌を習うが、風狂
の人として俳諧の普及につくす。

「切りたくもありきりたくもなし」
という句の附句三句を望まれ、

「盗人をとらえて見れば我が子なり」
「さやかなる月かくせる花の枝」
「心よき的矢の少し長いをば」
と答える。


●千利休(一五九一没 享年六十九)
辞世の偈
「人世七十 力圍希咄(カーッ、トーッ)吾這宝剣 祖仏と共に殺す 堤ぐる
我が得具足の一つ太刀 今この時ぞ天に抛」

茶道の完成者。千家流茶道の開祖。16歳のとき京都で茶会を開き、茶の湯の世
界に登場。天正13年(1585)秀吉の関白就任にあたり、禁中小御所で茶会が開
かれたとき、天皇に茶を献じて利休居士の号を贈られる。天正18年、秀吉の怒
りを受け、翌年2月28日切腹。


●松尾芭蕉(一六九四没 享年五十)
辞世の句
「旅に病んで 夢は枯野をかけめぐる」

俳人。伊賀の生まれ。京都に行き北村季吟に入門して俳諧、和歌を学ぶ。天和
5年、江戸深川に居を定め、剃髪して俳諧の研究に努める。諸国を遍遊して、
元禄7年10月大坂の旅宿にて没する。有名な「奥の細道」は元禄2年の作である。


●安藤広重(一八五八没 享年六十一)
辞世の句
「東路に筆を残して旅の空 西のみくにの名所を見む」

江戸末期の浮世絵師。風景版画の連作に名をなし、また花鳥画にも新境地を開
いた。作は「東海道五十三次」「江戸名所百景」など。


★庶民★

●商人の娘(年代不明 享年二十八)
辞世の句、三句
(題:湯灌いや)「おのづから心の水の清ければ いづれの水に身をや清めん」
(題:経かたびらいや)「生まれ来て身には一重も着ざりけり 浮世の垢をぬぎて帰れば」
(題:引導いや)「死ぬる身の教えなきとも迷うまじ 元来し道をすぐに帰れば」

「黒甜瑣語」にのっていた話。丹波の国の商人の娘、28歳で死亡したが、上の
辞世の句三首を残していた。


●乞食女(一六七二没 享年不明)
辞世の句
「ながらえばありつる程の浮世ぞと 思えば残る言の葉もなし」

寛文12年4月、京都三条橋の下で20歳あまりの乞食女の遺体が発見された。自害
とみられ、かたわらには上の辞世の句が残されていた。
これが都で評判となり、ある貴族もこれに対して歌を詠む。

「言の葉は長し短し身のほどを 思えば濡るる袖の白妙」(新著聞集)

彼女の意図に反し、三百年以上も「言の葉」は残り、今も聞くものの心を打つ。

★僧★

●一休(一四八一没 享年八十八)
遺偈
「須弥南畔 誰か我禅に会う。虚堂来る也。半銭に値せず」
(意訳:この世界、誰が我を理解できよう。虚堂が来て禅を示そうと、半銭に
も値しない)

室町時代の禅僧。30歳頃から風狂さが発揮される。文明13年、持病の瘧(熱病)
が悪化し、11月酬恩庵にて死亡。その最後の10年間、盲目の森侍者と夫婦とし
て過ごしたという。


●関山国師(一三六〇没)
遺偈
「断じて仏祖を截る 吹毛常に磨す 機輪転ずる処…」

関山国師(無相大師)は片足が短く、座禅は半跏座であった。死に臨んで斧を取
り、自分の足を切り折って結跏座を組み、上の辞世の句を詠んだ。しかし、「
機輪転ずる処…」と書いたところで息が止まり、筆を投げ捨て歯を食いしばっ
て果てた。側にいた鉄堂和尚がただちに末句を詠みつぐ。

「…虚空牙を噛む」


★武将★

●柴田勝家(一五八三没 享年六十一)
辞世の句
「夏の夜の夢路はかなき跡の名を 雲居にあげよ山郭公」

武将。織田信長家臣。本能寺の変以後、織田氏の後継者問題で秀吉と対立。天
正11年4月、近江賎ケ岳で敗れ、居城の北ノ荘城で、敵軍包囲の中を最後の酒
宴を催し、翌日夫人(お市の方)と共に天守閣に登り、火を放って自刃する。
夫婦の辞世の句である。
お市の方がまず、

「さらぬだに打ちぬる程も夏の夜の 夢路をさそう郭公かな」

と辞世の句を詠む。これに応えて勝家は、上の句をつけた。
お市の方、享年三十七。


●豊臣秀吉(一五九八没 享年六十三)
辞世の句
「露と落ち露と消えにし我身かな 難波の事も夢のまた夢」

武将。父は織田家足軽。信長に仕え、天正1年(1573)近江長浜城主となる。
本能寺の変の後、光秀を討ち、天正18年に天下統一を成し遂げる。文禄・慶
長の役(1592~98)を起こし朝鮮に出兵。慶長3年8月、「虚損の症」(ガン)
で伏見城にて死亡。上の辞世の句は、天正15年、秀吉51歳の時のもの。


●徳川家康(一六一六没 享年七十五)
辞世の句
「嬉しやと二度さめて一眠り うき世の夢は暁の空」

徳川初代将軍。今川義元・織田信長と結び武田氏は滅ぼす。ついで豊臣秀吉
と和し、天正18年(1590)関八州に封ぜられて江戸城に入る。秀吉の没後伏
見城で執政、慶長5年(1600)関ヶ原の戦で石田三成らを破り、征夷大将軍
に任ぜられ江戸幕府を開く。元和2年1月腹痛をおぼえ、容体が悪化して4月
17日死亡。棺は久能山に納められる。


●浅野内匠守(長矩) (一七〇一没 享年三十五)
辞世の句
「風さそう花よりも猶我はまた 春の名残りをいかにとかせん」

播州赤穂藩5万3千石の藩主。元禄14年3月11日、勅使饗応を幕府より仰せ付け
られ、吉良上野介(義央)に教示を求めるも、拒否・侮蔑され、3月14日午前
10時、吉良(当時60歳)を江戸城本丸松の廊下で切りつける。これにより奥
州一関城主田村邸にお預けとなり、同日午後6時、出合の間の庭にて切腹。
長矩の遺体には蒲団がかけられ、泉岳寺に葬送された。


●大石内蔵助(良雄) (一七〇三没 享年四十四)
辞世の句
「あら楽し思いは晴るる身は捨る 浮世の外にかかる雲なし」

浅野長矩の家老。赤穂浪士の頭領。通称、内蔵助。兵学を山鹿素行に学ぶ。元
禄14年(1701)3月、主君長矩が吉良義央刃傷のため切腹。翌年12月、同志と
共に夜吉良邸に討ち入り、本懐を遂げる。明くる年の2月4日切腹。

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【2】古典原文読解教室   第二回<主語を探す。誰が誰に言っている文か>
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これであなたもスラスラ古文が読める。読解ポイントの裏技・表技を庵主が
こっそり伝授します。第二回目は千利休、茶法の奥儀を今日に伝える「南方録
」から抜粋。隠された主語を探し、誰が誰に言っている文かを解明します。原
文、読解ポイント、訳文の順にご紹介。話者を確定することが、なんといって
も古文読解の第一歩です。
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◆原文

五つガネのこと、間あいだ六を加へて十一のカネ伝授ありし時、いまだ陰陽の
差別くはしく会得せざりければ、迷惑のこと多かりしなり。第一五十かざりの
台子、草庵の置方に至るまで、五つガネのみにて教へらるゝ。これに依り不審
晴れがたく、尋申しけるに、休云、丁寧の問感喜す。五十かざり知ても、この
間のカネを分別せざれば不自由、またはあやまちすることなり。
某も道陳に再三問しかども、秘事とのみ云て伝授せず。紹鷗に尋申たれば、道
陳は教へずやと仰せらる。秘して教へずと申す。いやいやさにあらず、我等あ
るとき道陳に尋ねしに、空海もこの事何とも申さずと答て分明ならず、我等ま
た宗陳に問しかどもしらず。宗悟に問いしに、悟は珠光の伝深切(しんせつ)の
人にてありしゆへ、たしかに覚へてつぶさに伝へられしなり。かほど大切にて
知人まれなることゆへ、第一の伝授事なり。凡三つわり五つガネまでは教へず
して事とゝのはぬゆへ、誰にも伝るなり。間の六つガネのこと沙汰にも及ばず、
問尋ぬる弟子もなし。宗易に於て秘事を残すべきにあらずとて、委く相伝あり
しなり。御坊は深切に工夫して、かくの如く問尋らるゝこと、我等が鷗への心
入よりまされり。いかにも伝へ申べし。吉日を撰て改て相伝すべしとて、天正
九年十月二十三日相伝をうけ申けるなり。その次第、あらあら左に記す。
(南方録 墨引四/南坊宗啓 ワイド版岩波文庫)


◆読解

南方録、葉隠等伝書スタイルの作品は、聞書が多い。弟子が師匠の教えを聞き
取り、それを筆録、代書するという体裁です。もともと日本語は主語を省略す
る言語なので、誰しもそれなりに免疫はできていると思われますが、古文の場
合その程度がさらにはなはだしくなり、主語・述語の関係がわかれば、読解は
大変楽になります。特に聞書では、話者が入り混じることが多く、書き手なの
か、話し手なのかは前後の文脈や敬語で判断するしかなく、難易度は結構高い。

ここでは、五つ曲尺の間にある、六つ曲尺の秘伝について、珠光以来、師弟の
間での、伝承の経過が語られています。まず登場人物を把握。聞き手南坊、話
し手利休。加えて利休の師匠関係が、紹鷗、道陳、空海、宗陳、宗悟。合計七
人となります。
南方録では人の名前を一文字に省略する独特の書式があり、利休は「易」また
は「休」、紹鷗は「鷗」、宗悟は「悟」。南坊→利休→紹鷗/道陳→空海、宗
陳、宗悟までの師弟関係は、この章まで読み進んでいれば理解できていると仮
定して。弟子が師に尋ねるわけですから、最初は当然南坊から始まる。つまり
最初から「尋申しけるに、休云、」までが南坊。その後ずっと利休の答えが続
き、さて、どこまでが利休の文かを次に読み取ります。利休は当然、師である
紹鷗に問うわけだから、利休が尋ねると、の後から紹鷗の言葉となって行きま
す。「紹鷗に尋申たれば、」以降が、紹鷗ですが、ここは短い会話の応答なの
で、「いやいやさにあらず、」からが紹鷗の回答となります。ここから会話文
が二重構造となり、鍵カッコで示すと、南坊「利休『紹鷗』利休」南坊、とい
うように話者が変わります。
 
ところで、この後赤字で「深切(しんせつ)の人」が出てきますが、第一回の読
解ポイントに従って正しい意味を調べます。ついつい「親切」と読んでしまう
と意味が通りません。心入れが深い、という意味です。辞書で調べましょう。
 さてこの後、紹鷗の文がどこで終わるかですが、文意と師弟関係を把握して
いれば、さほど難しくはない。「宗易に於て秘事を残すべきにあらず」までだ
と容易に気付くことでしょう。その後の利休の文は「吉日を撰て改て相伝すべ
し」まで。古典原文には会話体のカッコ、鍵カッコは当然ありませんので、人
物名と会話の内容で推量するしかありません。が、ここでは、秘伝を師から弟
子、そのまた弟子へと、直線的に話が展開していくため比較的読解が容易な部
類だと思われます。単純に言葉尻だけで見分けるなら、「尋ねしに(尋ね申す
に)」と「…とて」の後、話主が変わります。読みながら、鉛筆で原文にカッ
コ、鍵カッコを入れていくといいかも知れません。主語、人名が省略されてい
る場合、敬語の使われ方で主語を類推する高度な方法もありますが、これはま
た次回お伝えいたします。


読解表技>
主語の見分け方は、まず人物関係を把握し、原文会話にカッコを入れてみる。


◆訳文

 五つ曲尺のこと。その間それぞれに六を加え、合計十一の曲尺を伝授された
時、いまだ陰陽の区別をくわしく会得できていなかったゆえ、戸惑うことが多
かった。
 まず台子の五十種の飾りより、草庵での置き方に至るまで、五つ曲尺のみを
もって教わった。これをもって不審晴らし難く、尋ねてみると、利休は、
「よく尋ねられたものだ。感心なこと。五十飾りを知っても、この間の曲尺を
理解せねば不自由し、過ちを犯してしまうもの。それがしも道陳に再三問うた
ものだが、秘事とのみおっしゃり伝授してはくれなかった。紹鷗に尋ねてみる
と、道陳は教えなかったか、と聞く。秘してお教えくださいませんでした、と
答えた。紹鷗は『いやいや、そうしたものではないのだ。自分がある時、道陳
に尋ねたところ、空海もこのことを何もいわなかった、と答え、はっきりしな
かった。宗陳に問うたが、彼も知らぬ。それで宗悟に問うと、この人は珠光に
深く心入れして伝授を受けた人であったので、確かに覚えており、くわしく教
えを受けることができた。このように大切なもので、知っている者も稀なので
第一の秘伝となっている。
 およそ、三つ割、五つ曲尺までは教えずして、何もできぬので、誰にでも伝
えるもの。間の六つ曲尺のことは、話にも上らず、問い尋ねる弟子もない。宗
易の代で、秘事を葬り去るわけにはまいらぬ』とて、くわしく相伝を受けるこ
ととなった。御坊は心入れ深く、工夫を凝らしているので、このように問い尋
ねてくれた。自分が紹鷗に師事した心入れより勝っている。なるほどお伝え申
そう。吉日を選び、改めて相伝すべし」
 といって、天正九年十月二十三日、相伝を受けた。その次第、概略を左に記
す。
※瓢(ふくべ) 夕顔で作った花活け。

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【3】演能情報             春は「能・狂言」を無料でみよう
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春たけなわ。そろそろ薪能のシーズンですね。能楽堂に来たことのない人でも、
薪能なら一度は見たことがあるのでは。風景や雰囲気を楽しむ、というのが多
くの人が薪能なら見てもよい、と考える理由だと思います。でも、多くの薪能
が、申し込み制、すなわち入場無料だから…というのも実は人気の秘密ではな
いでしょうか。能は高級なもの、入場料も高いもの…。そんな常識をくつがえ
す、入場無料の能・狂言があります。しかも、大きな能楽堂で一年中、ほぼ毎
週のように開催されているのです。

それは、「素人会」。

能楽各社中アマチュアの発表会です。「なあーんだ」とがっかりしないでくだ
さい。これらの発表会では、シテ以外すべて正真正銘のプロが舞台を勤めます。
能一番もちゃんと見られるし、梅若六郎・友枝昭世・野村萬斎などのカリスマ
役者も「ただ」で見られます。大体朝9・10時くらいから、夕方5・6時くらい
まで、ほぼ一日中演じられること、一日のいつでも入退場が自由、招待券・整
理券などのチケット、予約・申し込み等が一切不要なことなどが特徴です。

シテ方の発表会では、シテ以外はすべてプロ。おすすめは、お囃子の素人会。
こちらも方式は同じですが、鼓、笛などお囃子を習っている素人のための発表
会だから、こちらはシテはプロが勤めるのです。つまり、囃子方の一人だけが
アマチュアで、それ以外はぜーんぶ玄人。舞台の大雑把な印象では、有料のプ
ロの催しとほとんど変わりありません。会によっては、来場者にお弁当や記念
品まで配ったりしています。プロの舞台は立派だけど、どこか自分たちとは遠
い世界のような印象。アマチュアの舞台は、一生懸命さが伝わってきて、なぜ
かじーんとし、自分もやってみたいな、と思わせる不思議な魅力があるのです。
以下に、今月発表されているめぼしい発表会をご紹介します。

いかがですか。今週末あたり花の気配にさそわれて、閑静な能楽堂ではじめて
お能拝見なんて。


3/11(土)
★矢車会 第一日目
観世元信・元伯師主催。観世能楽堂
お囃子、太鼓方観世流社中の発表会。

3/12(日)
★矢車会 第二日目
観世元信・元伯師主催。観世能楽堂
お囃子、太鼓方観世流社中の発表会。

3/14(火)
★能楽研鑚会
観世清和師主催。国立能楽堂
シテ方観世流家元主宰の発表会。

3/21(祝)
★吟松会大会
横井徹師主催。矢来能楽堂

3/22(水)
★梅若晋也社中発表会
梅若晋也師主催。梅若能楽学院
シテ方観世流梅若晋也師社中の発表会。

3/28(火)
★笛の会 第一日目
藤田次郎師主催。国立能楽堂
お囃子、笛方一噌流藤田次郎師社中の発表会。

3/29(水)
★笛の会 第二日目
藤田次郎師主催。国立能楽堂
お囃子、笛方一噌流藤田次郎師社中の発表会。

3/30(木)
★恵美寿会 第一日目
衣斐正宜師主催。国立能楽堂
衣斐正宜師社中の発表会。

3/31(金)
★恵美寿会 第二日目
衣斐正宜師主催。国立能楽堂
衣斐正宜師社中の発表会。


※番組は変更される場合があります。開催日時、番組・演目等詳細情報は上の
各能楽堂まで直接お問合せの上ご来場ください。

はじめて能楽堂に行かれる方へ。

○とくに非常識な格好でない限り、普段着でお出かけになってまったく問題あ
りません。
○男性はジーンズよりは上着を着た方がベターかなあ、という程度。女性も年
配の方以外は洋服です。
○開催中は原則いつでも入退場自由ですが、普通のコンサートや映画と同程度
の観劇マナーを守りましょう。
○演能中のおしゃべり、物音を立てることは舞台とまわりに非常に迷惑です。
携帯はむろん厳禁。
○とくに演能中の出入りはそーっと、目立たない脇扉から出入りしてください
ね。うろうろせずにあいている席をみつけたら、すぐに座席についてください。


それでは、じっくり自由に「能」を楽しんできてください。

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【4】問わず語り~編集雑話         子供たちに”夢をみる力”を
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日本青少年研究所が、日米中韓四ヵ国の高校生に意識の国際比較調査を行いま
した。まず、調査結果を見てみましょう。


問一.「あなたの大事なものは何ですか」選択肢16項目より選んで回答
●成績がよくなること 日33% 米・中・韓73~75%
●希望の大学に入る 日29% 米54% 中76% 韓78%

問二. ●非常に関心があること(それぞれ第一位)
日→漫画・雑誌・ドラマなど大衆文化 62%
中→将来の進路 64% 韓→将来の進路 66%
米→友人関係 64%

問三. ●なりたいと思う生徒像(それぞれ第一位)
日→クラスのみんなに好かれる生徒 48%
米・中→勉強がよくできる生徒 80~83%

問四. ●自分が間違っていないと思えばはっきり主張すべきだ
 日40% 米26% 中56% 韓38%


上の調査結果は今月、日経新聞に掲載された記事です。日本人の子供の学力低
下はずいぶん前から指摘、問題視されてきましたが、「希望の大学に入る」た
めの「勉強」をもはや大事とは考えていない。関心はもっぱら「漫画やドラマ」
と「みんなに好かれる」かどうか。

ガリガリ勉強して生存競争に打ち勝ってゆこうとする米中韓の子供。TVや漫画
の話題にくわしく、クラスの人気者をめざす日本の子供。この調査からいろい
ろなことが見えてきて大変興味深いのですが、日本人の高校生で確実に低下し
ているのは、生き残るための「競争力」。そして、人が生きていくために絶対
必要な将来を描く力、「夢をみる力」が失われつつあるように感じられます。
この結果に対する、有識者のコメントは、「大人には働くことが、子供には勉
強することが大切だと伝えてゆかなければならない」。
ちなみに今、ニートやフリーターなどの若者の間では「ナンバーワン」ではな
く、「オンリーワン」をめざす風潮が定着しつつあるらしい。
当然大人たち自身、まず何のために勉強して、それで将来どうなるのか、とい
う地図をしっかり描いてみせてあげるべきでしょう。人間、自分がどこに行く
のかを知るためには、自分が歩いてきた道を振り返ると、先が見えるもの。先
が見えれば、それが順路でも悪路でも、たとえ断崖絶壁でも、対策は立てられ
るはず。

子供に将来の地図を見せるには、まず大人たち自身が、自分や日本人の祖先た
ちがつくってきた歴史と文化を学ぶことです。それで夢が見えてくる。
大衆文化だけれども、「文化に関心がある」と答えたのは日本の子供だけです。
素地はある。
夢をみる力を引き出してあげれば、自分と日本と地球の将来が見えます。将来
が視野に入れば、今何をしたらいいのか、勉強や努力することの意味も、自ず
から弁えるようになるのです。むろん大人のぼくたちも、歴史と文化を学べば、
働くことの意味が、すっと目の前に立ち上がってくるものです。


┌-----------【言の葉庵】よりお知らせ----------┐
│【言の葉庵】ホームページにて「葉隠」書籍版発売時期を本年年頭頃と予│
│告していましたが、事情により5月頃発売とさせていただきます。これま │
│での葉隠訳本の中でも、最高の内容、最良の装丁をめざして編集・製本を│
│すすめてまいりますので、どうかご理解ください。なお、書籍版刊行をも│
│ちまして、電子ブック版の販売は終了させていただきます。      │
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 皆さんの声をお待ちしています。Good!の投稿は次号にてご紹介いたします。
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■ 編集長 水野 聡 mizuno@nobunsha.jp  
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2006年03月11日 10:23

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