千年の日本語を読む【言の葉庵】能文社: 強く生きる極意五輪書

強く生きる極意五輪書

著者：宮本武蔵著水野聡訳
本体価格：950円 +税
判型：四六判並製
発売日：2004年08月27日
コード：ISBN4-569-63881-3
出版社:PHPエディターズ・グループ

［宮本武蔵とは］
宮本武蔵は播州美作国宮本村にて、新免無二斎の子として生まれる。生年は、五輪書　地の巻記述に従えば、天正十二年(1584)となる。剣術家であった父の影響もあったのであろうが、剣の道の天分に恵まれ、若年の頃より地元の剣豪とたびたび立会いをし、これらをことごとく下している。二十一歳で京都に出、将軍家兵法指南役吉岡清十郎と試合し、これに勝ち、その後江戸に出て柳生流の剣士とも立会い勝利を得たという。慶長十七年(1612)には、小倉藩家老に縁を求めるため…

豊前小倉に下り、細川家指南の剣名高い、巌流佐々木小次郎と立会い、これを打ち破っている。有名な巌流島の決闘である。この間、六十数度に及ぶ真剣勝負すべてを制し、文字通り無敵の強さを誇った。その後、武蔵は常陸、出羽、出雲、尾張など諸国を廻り、いくどか兵法者と立会い、大坂の陣にも参戦したというがその足取りは確かではない。
　寛永十一年(1634)小倉に下り、数年滞在する。寛永十七年(1640)、熊本城主細川忠利の招きに応じ、これより客分の剣術指南として晩年の武蔵は、熊本に留まることとなった。忠利の要請により、『五輪書』の前身となる、兵法の集大成、『兵法三十五箇条』を書き上げ、奉納。藩士に稽古をつけるかたわら、詩歌・茶・書画・彫刻に親しむ。また、細川家菩提寺、大淵和尚や春山和尚と交友し、禅に深く傾倒していく。時折、岩殿山霊巌洞にこもっては座禅修行に明け暮れた。老体に病を得ていた武蔵は、正保二年(1645)春頃より、いよいよ病が重くなり五月十二日門弟等に遺品を贈るとともに、寺尾勝信に「五輪書」、寺尾信行に「兵法三十五箇条」を伝授した。その後、自戒のためとして「独行道」をしたためこれを辞世の書とした。五月十九日、熊本居宅にて没。享年六十二と伝えられる。遺言により、甲冑を帯し武具を鎧った姿にて入棺し春山和尚が引導を渡した時、一天にわかにかき曇り雷鳴が轟き渡ったという。

［五輪書とは］
　宮本武蔵の代表的著作。自身、二天一流の兵法を書き表した剣術兵法の伝書である。地・水・火・風・空の全五巻より成る。先に成立を見た『兵法三十五箇条』概要を詳細かつ実践的に肉付けし、伝書として再編したものである。
　地の巻は、二天一流の概要を述べ、当兵法の理論的正当性を明らかしたものである。
　水の巻は、二天一流と名付ける理由と、二天一流の太刀筋の大略を記す。
　火の巻は、兵法の実践的技法を詳述。敵に打ち勝つための技法を十七か条にわたって具体的に論じる。
　風の巻は、まず他流の兵法の概略と相伝を具体的に論証し、二天一流との技法、心法の違いを九か条で構成、明確に詳述している。
　空の巻は、二天一流兵法の究極「万理一空」について述べる。
　生涯、六十数度に及ぶ真剣勝負に、一度として敗れることのなかった希代の剣術家。その不敗の哲学を後世に伝える本書は、いかにして場を支配し、敵を支配し、己を支配するかを説く兵法の実践の書である。強さ、弱さ、ためらい、含みなど人間心理を隅まで見透かし、100%の確率で「勝つ」ことをめざす。ゆえに、欧米の企業経営者にも不敗のルールブックとして広く支持・愛読されているという。

2005年12月20日 06:21