心にしみる名言、知恵と勇気がわいてくる名文を、千年の古典名著から毎回お届けしています。
No.58
愚かに迷い、心の乱れている人が百年生きるよりは、知慧あり思い静かな人が一日生きるほうがすぐれている。~ブッダ『ダンマパダ』(ブッダの真理のことば)
ブッダの名言集を公開します。
当名言集は、仏教最初期の仏典、『スッタニパータ』、『ダンマパダ』を中心として、仏教始祖ゴータマ・ブッダ生存中の直接の肉声に近い、珠玉の名言をとりあつめたものです。
『スッタニパータ』は数多い経典・仏教書の中でも最古と目される仏典。「スッタ」は(縦糸)(経)の意味であり、「ニパータ」は(集成)の意味です。ここには創始仏教として発展する以前の簡単素朴な最初期の仏法が示されています。
後世のように複雑で厳格な教義や論理は露も見られません。ブッダは単純素朴で力強いことばにより人として歩むべき道を指し示しました。
一修行者としての飾らない真摯なことばが、苦しみ悩む、無知・無明の人々の心を解き放ったに違いありません。
いかなる生物生類であっても、怯えているものでも強剛なものでも、悉く、長いものでも、大きいものでも、中ぐらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大なものでも、
目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでもすでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。
(スッタニパータ 第一 蛇の章 8、慈しみ)
あたかも、母が已が独り子を命を賭けて護るように、そのように一切の生きとし生れるものどもに対しても、無量の(慈しみの)意を起すべし。
(スッタニパータ 第一 蛇の章 8、慈しみ)
ブッダの願いはただ、生きとし生ける者すべての幸せ。そして、そうした世界を実現するただひとつの方法は「無量の慈しみ」の心に従い、行動、実践することでした。
『ダンマパダ』は、漢訳では『法句経』と呼ばれ、『スッタニパータ』とならんで最古の原始仏典とされています。『ダンマパダ』の「ダンマ」は(法)、「パダ」は(ことば)。日本語訳では「真理のことば」と題されています。
ブッダの没年は、北方の伝説によると紀元前383年頃、以降アショーカ王時代(紀元前268-232)までに、ブッダの説法は、韻文(詩)または簡潔な文章にまとめられていきます。後にこれらは、三蔵(経・律・論)となり、紀元後には大乗経典となり、インド・中央アジア・中国・日本へと伝来されていきます。
『ダンマパダ』には、この世に生きるすべての人間にとって避けることのできない、死・苦・煩悩・悪について、子供にでもわかるやさしいたとえでその本質を解き明かします。そして、いかにしてこれらの苦難を乗り越え、智慧と悟りを得て生きていくべきかが、聖人の口からぽつぽつと語り伝えられるのです。
鉄から起った錆が、それから起ったのに、鉄自身を損なうように、悪をなしたならば、自分の業が罪を犯した人を悪いところ(地獄)にみちびく。
(ダンマパダ 第十八章 汚れ)
愛する人と会うな。愛しない人とも会うな。愛する人に会わないのは苦しい。また愛しない人に会うのも苦しい。
(ダンマパダ 第十六章 愛するもの)
他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったこととだけを見よ。
(ダンマパダ 第四章 花にちなんで)
戦場において百万人に勝つよりも、唯だ一つの自己に克つ者こそ、じつに最上の勝利者である。
(ダンマパダ 第八章 千という数にちなんで)
花の香りは風に逆らっては進んで行かない。栴檀もタガラの花もジャスミンもみなそうである。しかし徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る。
(ダンマパダ 第四章 花にちなんで)
愚かに迷い、心の乱れている人が百年生きるよりは、知慧あり思い静かな人が一日生きるほうがすぐれている。
(ダンマパダ 第八章 千という数にちなんで)
『スッタニパータ』は、中村元訳『ブッダのことば』として岩波文庫から出版されています。『ダンマパダ』は、同氏訳『ブッダの真理のことば・感興のことば』(同社)がもっとも近づきやすい翻訳書です。
当名言集により、ブッダ初期仏典にご興味をもたれましたら、これらの訳書もあわせてご参照されますように。
2013年08月09日 16:23
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